看護学生の頃、多くの人が華やかな医療ドラマに描かれた看護師像を夢見たのではないでしょうか。颯爽と廊下を歩き、患者さんの手を握りやさしく微笑み、奇跡のような回復を見届ける…そんな格好良い姿と感動的なイメージを抱き、看護師の道を志したのは私だけではないはず。しかし、実際の現場に飛び込んだ私を待っていたのは、想像を絶する泥臭い日常でした。最初の一週間で痛感したのは、看護は凄まじい体力を要する肉体労働であるということ。ドラマのような華やかさは微塵もない、汗にまみれて動き回る泥臭さこそが、私が感じた現場のリアルでした。
また、常にのしかかる緊迫感と余裕のない状況も、理想との大きなギャップでした。ドラマのワンシーンのように、思いにふけるような暇など一切なく、現実は常にモニターの警告音や鳴り止まないナースコールに追われっぱなしです。慌ただしい中、一瞬の判断ミスが命に直結するというプレッシャーも大きく、ドラマではこの重みが描かれていないと実感しました。患者さん一人ひとりとじっくり向き合いたいと願っても、実際には山積みの書類や次から次へと舞い込む指示に翻弄され、最初は自分の無力さに打ちひしがれる毎日でした。
しかし、その理想と現実の激しいギャップに揉まれた経験が、プロとしての自覚を育てるきっかけになったとも思います。綺麗事だけでは救えない命があり、泥臭いケアの積み重ねが患者さんの尊厳を守っているのだと気付いたとき、本当の意味での私の看護師人生が始まりました。憧れの華やかな世界とは違っていましたが、今では目の前の小さな変化に一喜一憂し、必死に食らいついていく今の姿の方が、ずっと人間味があって誇らしいと感じています。